西蔵自治区は、中国でも「ターコイズ」資源が豊かな地の一つである。
鮮やかなスカイブルーのターコイズに、古代「吐蕃」の人々も魅了され、それを金器に散りばめるというのが、彼らの伝統となってきた。
この髪飾りも、ターコイズと金が見事に組み合わされた逸品となっている。
「嵌松石立鳳金頭飾」は孔雀の羽を付けた「鳳凰」を象っており、羽を力強く、ゴージャスに広げ、じっと前方を見つめて屹立するデザインとなっている。
そしてその美しさからは、一種の野生のどう猛さを垣間見ることもできる。
周囲が次第に暗さを増す中でも、これを身につけていれば女王のような輝きを放ったことだろう。
ミニマリズムが「制御された美」であるなら、吐蕃王朝の美しさとはそうした制御を一切感じさせない美しさであり、この一つの髪飾りの中には、唐やソグディアナ(古代ペルシア帝国)、サーサーン朝などのアートスタイルが取り入れられている。
唐代の文化に寄与した各地の職人の中で、吐蕃の人々の美的感覚や技術は特に有名だ。
中原や中央アジア、西アジアの交流において重要な役割を果たし、唐蕃古道や朝貢、民間貿易などを通じて、東洋と西洋の工芸と文化が唐の都で融合し、インスピレーションとアイデアが絶え間なくもたらされると同時に、唐の都でローカライズされた新たな美的感覚が形成された。
そして「吐蕃」時代の金の装飾品工芸はたちまち各地で人気を集め、「中世の奇跡」と呼ばれるようになった。

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